フォントベンダーに対する要望 2020
この記事内の目次
最初に書いておきますと、私(鷹野)はフォント大好きで、モリサワ、フォントワークスともに大ファン。新書体のリリース日が発表されると、それをカレンダーにつけて楽しみに待つくらい入れこんでいます。
そんなファンから苦言を申し上げます。
サイトのフォント情報
こちらの記事を出して4年たちます。
「ふりがな」と「フォントデザイナー名」(フォントワークス)には進展があったものの、下記については実装される気配がありません。少なくてもフォントの英語表記については不可欠です。
- フォントの英語表記
- フォントファイル名
- (できれば)リリース年
繰り返しますが…
カタログ程度の情報でなく、“サイトならでは”の深い情報提供を望みます。
フォント名と表記
たとえば、モリサワの「UD新ゴ 簡体字」は、サイトでは次のように記載されています。
しかし、Illustratorでは、「森泽UD新黑 Gb4」と表示されます。「UD新ゴ 簡体字」と「森泽UD新黑 Gb4」を結びつけられる人は少ないでしょう。
そこで環境設定の[フォントを英語表記]オプションをオンにすると
すると、「MO UDShinGo SC Gb4 R」と表示されます。
つまり、次のように情報をまとめて見られないと、何かと困ります。
- フォント名:UD新ゴ 簡体字
- Illustratorでのフォント名:森泽UD新黑 Gb4
- Illustratorでのフォント名(英語):MO UDShinGo SC Gb4
- フォントファイル名:MO-UDShinGoSCGb4-Reg.otf
せっかく多言語展開のためにフォント開発をしてくださっていても現場で使いにくいのです。
一覧表
こちらのGoogle スプレッドシートはモリサワさんにて用意すべきものですが、私が丸2日かけて作ったものです。
- モリサワフォント多言語対応フォント一覧(Google スプレッドシート)
2017年10月に作成したものなので、若干情報が古かったり、新しいフォントが入っていません。
多言語
モリサワは、MORISAWA PASSPORT 英中韓組版ルールブック(タイ語含む)というPDFを無償で提供しています。
多言語組版に必要なルールと、その言語の組版に活用できるMORISAWA PASSPORT収録書体を紹介したハンドブックです。近年需要が高まるタイ語を新たに収録しました。
非常に濃く、また、素晴らしくまとまっている内容ですので、多言語に取り組まれる方は必読です。
フォントワークスLETSのアラート
出先などネット環境がない(乏しい)ときに、「えっ、今!!??」というタイミングでLETSアプリのアラートが出て困っています。
認証のタイミングを長くすることを検討くださいますと助かります(1週間に一度など)。
新書体リリース以外の時期は、アプリごと削除して凌いでいます…
ライセンスの2台目問題
フォントワークスLETS、MORISAWA PASSPORTなどの定額制フォントサービスは「1台のPC、1プラットフォームにつき1ライセンス」が基本ですが、アドビCCに合わせて「2台までいいよ」となるといいなと思います。
アドビCCも「2台同時ではなく、2台にインストール可能。同時使用は不可」としていますが、それと同じ扱いでどうでしょうか?
ユーザーフレンドリーというか、現実に即してると思うのです。
アンケート
これについてアンケートを取ってみました。
定額制フォントサービスの「2台目」問題について、みなさんの状況を教えてください。
— DTP Transit (@DTP_Transit) November 2, 2020
フォントワークスの取り組み
フォントワークスはフォントファイルの「非表示化」という対策を取ると2019年5月に発表しましたが、その後、撤回しています。
ユーザーの利便性を損ねない、という判断に👏です!
ただし、サイトの「ニュース」の扱いがイケていません。修正があるのでしたら追記すべきです。
- 不正コピー、配布への対策強化に対する取り組みのお知らせ | Fontworks(2019年5月)
- 【再掲】不正コピー、配布への対策強化に対する取り組みのお知らせ | Fontworks(2019年7月)
- 【再掲】不正コピー、配布への対策強化に対する取り組みのお知らせ | Fontworks(2019年10月)
不正とライセンス
同時使用はNGとしても、アドビCCのライセンスが2台までという都合、2台に入れて使っている人が多いのが現状だと思います。
「いやいや、2倍、契約してもらおうよ」という経営判断もありますが、ユーザー心理やデザイナーの経済状況としては厳しいです。
といって、フォントをインストールしている方だけで仕事をする、のは不便極まりないですし、逆に、2台分必要になるなら…と二の足を踏んでいる人も一定数いるでしょう。
Adobe Fontsやフリーフォントの充実で、モリサワやフォントワークスのフォントを使わなくてもいい…という人も増えています。
不正利用の対策やユーザー増加などと一緒に、ユーザーの利用形態の実状について考えてみるタイミングのような気がします。
まとめ
サイト(でのフォント情報)、アプリ、ライセンス、プレスリリースなど、ユーザーのユースケースへの理解が乏しいと感じます。
応援していますので、がんばって欲しい。
追記
モリサワのSNS担当の方から、公開翌日にご連絡をいただきました。
モリサワHPには下記のようなページがございまして、MORISAWA PASSPORT収録書体名一覧がエクセルでダウンロードできるようになっています。ご要望全てを網羅できてはいないのですが、メニュー名、PS名、file名は載っていますので、
「下記のようなページ」はコチラです! https://www.morisawa.co.jp/support/download/3697
なんと!! 素晴らしい。ぜひ、フォントの各ページにも掲載くださると、さらにありがたいですね。
※ご連絡ありがとうございました!