Creative Cloud道場に鷹野 雅弘(スイッチ)が出演(Illustratorの「変数」機能について)
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2018年5月17日(木)に放映されたオンライン番組「Creative Cloud道場(CC道場)#212 エバンジェリストに聞け!鷹野雅弘」に鷹野 雅弘(スイッチ)が出演しました。
Adobe Creative Stationで連載している「ベテランほど知らずに損してるIllustratorの新常識(10)CSVサポートで身近になったデータ駆動グラフィックでアートワークのバリエーションを作成」のライブバージョンとして行いました。
ワークフロー
アーカイブ動画
アーカイブ動画がYouTubeにて公開されています。
ツイートのまとめ
ツイートまとめはTogetterにて。
スライド
用語
「データ結合」は、元々はInDesignの用語。Illustrator CC 2018(2018年3月アップデート)で変更されました。2001年のIllustrator 10では「データ駆動グラフィック」と呼ばれていました。
- データ結合(data merge)
- 変数(variables)
- データ駆動グラフィック(data-driven graphics)
- 差し込み印刷
その他、聞き慣れないことばや、重複する用語があるため、用語集としてまとめてみます。
区分 | 項目 | 意味 |
---|---|---|
Illustrator の用語 | 変数ライブラリ | Illustratorから見た外部ファイル(データセットの集まり) |
バインド | アートワークと変数を結びつける作業 | |
データセット | レコードのこと | |
キャプチャ | データセットとして記録すること | |
バッチ | データセットを対象に、順番にアクションを自動的に実行すること | |
テンプレート | バッチの対象となるアートワーク | |
動的に設定 | アートワークを変数として扱うこと | |
一般的な データベース 用語 | フィールド | 項目のこと |
レコード | 名簿だったら、一人一人のデータのこと | |
データベース | フィールド×レコード | |
CSV | カンマ区切りファイル(comma separated value) |
なお、CSVは「character-separated values」とされることもあります。
Excelから書き出したCSVファイルをそのままでは読み込めない問題(Windowsでは?)
Illustratorの[変数ライブラリの読み込み]コマンドでCSVファイルを読み込むとき、BOMが原因でエラーが出てしまうとき、Macではファイルをテキストエディット.appで開いて保存し直す必要があります。
Windowsでは、「メモ帳」および「ワードパッド」などの付属のエディタでは、BOMを削除することができません。そこで、無料のテキストエディタ「TeraPad」を使ってBOMなし(UTF-8N)にするのがよいでしょう。
その他、こちらのサイトなども参照してみてください。
- テキストやCSVファイルのエンコード・BOM有り無しの変更方法 » エコノス社員ブログ
- UTF-8のBOMにはまった話 - Qiita
- UTF-8 で書かれたテキストファイルが BOM 付きかどうかを「メモ帳」で調べる簡単な方法 - Corredor
Illustratorの[変数ライブラリの読み込み]コマンドが、「BOMありのときには、それを除いて読み込む」という仕様になるべきです。
Excelから書き出したCSVファイルをそのままでは読み込めない問題(Google スプレッドシート)
Google スプレッドシートから書き出したCSVファイルは、そのままでIllustratorで読み込めます。
各アプリから書き出すCSVの文字コードとBOM
Illustratorに読み込みには、UTF-8、BOMなしのCSVにします。
アプリケーション | 文字コード | 改行 | BOM | 対策 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
Excel | macOS | 2011 | Shift-JIS | CR | なし | テキストエディタで開いて、UTF-8にする |
2016 | UTF-8 | CR+LF | あり | テキストエディット.appで開いて保存して閉じる | ||
Windows | 無料のテキストエディタ「TeraPad」などを使って | |||||
BOMなし(UTF-8N)にする | ||||||
Apple Numbers | なし | 保存時に「Unicode(UTF-8)」に設定 | ||||
Google スプレッドシート | そのまま読み込める |
拡張子が付かないことがある問題
@StymYukoさんが検証くださいました。ありがとうございます!
アクション作成時に「別名で保存」を記録する際にファイル名を変更することで解決します。
@swwwitch さん @Adobe_CCDojo さん 「CC道場 212 Illustrator CCのデータ結合のバッチ処理」で拡張子が付かない場合があるとお聞きしました。検証したところ、アクション作成時に「別名で保存」を記録する際にファイル名を変更すると良いようです(例: 名刺.ai→https://t.co/nWZHnoRFAJ)。 #CCdojo
— yuko (@StymYuko) 2018年5月22日
Illustratorの変数機能の弱点
使い込んでいくと「惜しい!」と思わずにいられません。これから手が入っていくのでしょうか…
- アウトプット機能(InDesignでいう結合ドキュメントの作成)がデフォルトで用意されていない
- 文字単位でのバインドができない(テキストオブジェクト単位)→ 横並びのテキストオブジェクトで文字数によって寄せるなどの設定ができない
- 読み込み後にIllustrator上でデータセットの更新は可能。しかし、元のデータベースに変更が生じたときには読み直すしかない。また、書き戻すことができない
- CSVの読み込みは可能になったが、書き出しはできない
- 画像ファイルの参照が絶対パスのみ
Illustratorの変数機能を使わないという選択肢
スクリプトが書けるのでしたら、スクリプトで実現するのがよいかもです。
有償のプラグインを利用されるの選択肢もあります。
Photoshop
比較表
Illustrator、InDesign、Photoshopの変数関連のまとめです。
Illustrator | InDesign | Photoshop | ||
---|---|---|---|---|
各アイテム | 変数 | (データフィールド) | 変数 | |
レコード | データセット | レコード | (なし) | |
レコードの集合 | 変数ライブラリ (データソースファイル) | データソース | データセット | |
対象 | テキスト | テキストオブジェクト | 文字 | レイヤー |
アイテム | オブジェクト | フレーム | ||
形式 | XML | ● | - | - |
CSV | ●(CC 2018以降) | ● | ● | |
TSV | - | ● | - | |
使用するパネル | [変数]パネル | [データ結合]パネル | なし([イメージ]→[変数]) | |
画像指定 (パス) | 相対パス | - | ディレクトリーには「/」が必要 | 「/」不要 |
絶対パス | 「/Users/」から(Mac) | ドライブからの絶対パス | ドライブからの絶対パス | |
ドライブから(Windows) | ||||
項目名の 接頭辞 | 画像 | @ | @ | 不要 |
表示 ・非表示 | # | - | (特になし) | |
グラフ | % | 非対応 | 非対応 | |
アウトプット | アクションを作成し、バッチ ([ソース]を[データセット]に指定) | 結合ドキュメントを作成 ([データ結合]パネル) | [データセットからファイル] ([ファイル]→[書き出し]) | |
注意 | Excelから変換したCSVファイルは、そのまま読み込めないのBOMを削除する | UTF-8だと文字化けするのでUTF-16を利用する |
番外編:Illustratorのプロモーションムービー
すみだあやか(角田綾佳)さんがツイートされたIllustratorのプロモーションムービーはこちら。
“しなる”という表現が言い得て妙です。
Adobe Illustratorが好きなのでプロモーション動画を作りました pic.twitter.com/dDSXGB4Bmd
— すみだあやか(角田綾佳) (@spicagraph) 2018年5月14日
追記(2019年1月19日):
Illustrator CC 2019では、BOMありCSVをそのまま読み込めるようになっています。