テクニカルライティングにおける「1字下げ」
ある案件にて、次の理由から「〈1字下げ〉を採用したい」という要望がありました。
- ページ数の節約
- ほかの書籍では〈1字下げ〉を採用している
テクニカルライティングにおける「1字下げ」に反対する理由
次の理由から反対の旨を伝えました。
- 〈1字下げ〉は、箇条書きや番号リストなどを前提していない。そのため、箇条書きに続く段落の先頭が不自然。また、ぱっと見、箇条書きのブロックを認識しづらい)
- 〈1字下げ〉では文章のカタマリ感が残る。ウェブで読むことに慣れた今、3行以上、空白なく続くブロックには閉塞感を感じる(人がいる)。
- 〈1字下げ〉の組版であっても、見出し直後では字下げを行わないとする流儀があるため(理由:字下げの存在意義がない)。たとえば、「Google アナリティクスによるクロスドメインの解析方法」に続く「Google アナリティクスは〜」の段落では字下げがない方がよいが、これをInDesignで自動化できる手立てがない([次の段落]でそれっぽいことはできるがカバーしきれない)。また、「この場合には字下げナシ」のようなルールの複雑化は、簡単に崩壊する
- Kindle版などとの整合性。そちらでも〈1字下げ〉するなら問題はないが、左がガタガタ見えてしまう。
- 文章を一字一句読んでいくタイプと、面で捉えてスピーディに読んでいくタイプが存在し、後者の場合、〈1字下げ〉での組版にストレスを感じる。つまり、文書構造を把握するのに時間がかかる。
- また、
「1字下げ」が好ましいケース
「小説」のような文章では、次のような性格のため、本書のようなものとはまったく異なり、逆に「1字下げ」が基本です。
- 段落間にアキがない
- 見出しはあっても1レベル
- 箇条書き(番号リスト)は生じない