Adobe MAX 2020が終了 + 鷹野 雅弘のPhotoshopセッションのフォローアップ

2020年10月21−23日にAdobe MAX 2020が開催されました。

今年はコロナ禍の影響で、世界同時開催の完全オンラインイベントとして2020年10月21−23日に開催されました。

Keynote(基調講演)

基調講演(Keynote)は、米国版、および、日本版が用意されました。

日本語版は70分ほどのボリュームです。大きな動向をつかむために、ざっくり見ておくことをオススメします(2倍速まで変速再生が可能)。

Sneaks

Adobe MAXにて開発中のテクノロジーが紹介されるセッションが「Sneaks」(スニークス)。MAXの中で一番盛り上がるプログラムといっても過言ではありません。

Adobe Blogにて紹介記事が公開されています。その中に、それぞれの動画が埋め込まれています。

「Sneaks」のお約束は、実際に動くもの。翌年、または、数年後に、ほとんどの機能が各アプリケーションに新機能として実装されます。

アドビ、および、クリエイティブがどのような方向に進むのかを把握する上でコチラも見ておきたいコンテンツです。

日本語のセッション一覧

こちらのリンクから、日本語のセッションを一覧表示できます。

さらに、左側の「フィルター」を使って、絞り込むことができます。

鷹野 雅弘(スイッチ)も出演

鷹野 雅弘(スイッチ)は「Photoshopはついにここまできた! 10手を1手にする魔法の使い方」と題して、「コンじる」(コンテンツに応じる)をはじめとするPhotoshopの時短機能を25分のセッションに凝縮しました。

こちらのセッションは、アーカイブ動画が公開されていますので、ぜひ、ご覧ください!

反響

セッションについていただいたツイートをTogetterにまとめました。 https://togetter.com/li/1611666

配布資料

配布資料をダウンロードするには、ログインする必要があります。

アウトテイク

時間の関係で落としたネタです。

サンプルファイル

サンプルファイルは、Adobe StockやUnsplashからダウンロードしてください。

後日談

「コンじる」は何かを消すことが得意ですが、「iPadでパパッと — 写真編集」というアップルのCMでは消してはいけないものを消しています。

はじめて見たとき、ずっこけました… このことをセッションに入れたかったのですが断念。

シナリオ(スクリプト)

今回、珍しく詳細のスクリプトを準備しました。自己紹介や本編開始前の設定など、持ち時間のため、削除してしまったところがありますが、ご参考までに共有します。

#テーマサブスクリプト
1マクラ みなさん、こんにちは!
Adobe MAXをお楽しみいただいていますでしょうか?

このセッションにご参加くださいまして、ありがとうございます!

このセッションでは「Photoshopはついにここまできた!
10手を1手にする魔法の使い方」と題して、
Photoshopの時短テクニックを中心にお送りします。
   さて、みなさんは、いつからPhotoshopをお使いでしょうか?

私がPhotoshopにハジメて、さわったのは1992年。バージョンにして2.0です。
そのときは、まだ、Photoshopにレイヤー機能がありませんでした。

その後、みなさんもご存じのとおり、
バージョンアップの度に、どんどん機能が盛り込まれてきました。

CS(Creative Suite)の時代には、
いわゆる「メジャーアップデート」のタイミングで新機能が入ってきましたが、
CC以降、それ以外のタイミングでもアップデートが行われることもあります。


   言い換えれば

- 虫の目:細かい使い方のヒント、より使いこなすための注意点や勘どころ
- 鳥の目:ワークフローにどう活かすか
- 魚の目:機能の進化(その関係性)
2自己紹介 改めまして、
こちらのセッションを担当する鷹野 雅弘と申します。

グラフィックやウェブ、エディトリアルの分野で
つくる/つたえる(書く・教える)を生業にして仕事をしています。

著者として『10倍ラクするIllustrator仕事術』という書籍などを書いていたり、
大阪芸術大学 客員教授のほか、全国で年間120本ほどのセミナーに出演しています。

2005年から「DTP Transit」というブログを運営したり、
日本で9名のみが選定されている
Adobe Community Evangelistのひとりでもあります。

MAXには2015年から連続で出演させていただいとているほか、
2018年には、USのMAXでスピーカーとして出演しました。
3まずはベーシック それでは、本編に入りたいのですが、その前に、
Photoshopを使うとき、
必ずチェックしておきたいことを確認しておきましょう。
  カラーテーマ最近は、OSだけでなくアプリでも
「ダークモード」が主流となりつつあります。

PhotoshopをはじめとするCCアプリも、
2012年のCS6から「ダークモード」を基本に
4つのカラーテーマをサポートしていることは説明するまでもありません。

こちらは環境設定で変更できますが、
Photoshopのみ、キーボードショートカットを使うこともできます。

- 明るくするには、shift + F2キー
- 暗くするには、shift +  F1キー

私は、明るめがスキなので、shift + F2キーを数回押して
一番明るくしておきます。
  ワークスペース次にワークスペースです。

ワークスペースとは、
たくさんあるパネルの表示・非表示、
また、パネルをどこに表示するのかを記録することですね。

私は、Photoshopで制作する上で欠かせない
[レイヤー]パネルをツールパネルのすぐ隣に。

また、[プロパティ]パネルをその上に移動し、
それ以外のパネルは閉じておきます。

なお、[プロパティ]パネルは、直近のバージョンまで
[属性]パネルと呼ばれていますが、今回のバージョン(2021)から
IllustratorやInDesignと同じ名称に変更されています。
  自由変形従来のアドビ製のグラフィックアプリでは、
オブジェクトやレイヤーを変形する際、
shiftキーを押していると縦横比(じゅうおうひ)、つまり、縦と横の比率が保たれます。

Photoshop CC2019から
これが逆の仕様に変更されています。

これまでの慣れや、
ほかのアプリの操作との整合性を重視されたい方は、
環境設定で変更しておきましょう。

[一般]カテゴリを開き、[従来の自由変形を使用]オプションにチェックを付けます。
これでshiftキーを押しているときに、縦横比が保持されます。

なお、この変更には再起動は不要です。
  取り消し続けて「取り消し」のキーボードショートカット。
Macの方は⌘ + Z、Windowsの方はCtrl + Z。

Photoshopでは⌘ + Zで取り消し、もう一度、⌘ + Zを押すと「やり直し」ですが、
ほかのアプリと同様に、⌘ + Zで連続して「取り消し」できるようになっています。

もし、変更したい場合には、[キーボードショートカットとメニュー]で
[従来方式の取り消しショートカットを使用]オプションにチェックを付けます。

この変更にはPhotoshopの再起動が必要です。
  詳細ツールチップ最後に、詳細ツールチップです。

ツールバーのアイコンにマウスオーバーすると、
小さいウィンドウが表示され、
そのツールの使い方を説明する動画が表示されます。

これから勉強したい方には歓迎すべき機能ですが、
使い方は把握しているという方、
急いでいる方には必要ありません。

その場合には、環境設定の[ツール]カテゴリで
[詳細ツールチップを表示]オプションをオフにします。
  まとめ以上、ここまで紹介してきたのは
基本中の基本の機能ばかりですが、
万が一、変更の仕方をご存じになかったり、
面倒で変更していない場合には、
時短を考える上では足を引っ張るものばかりです。
4コンじる それでは、いよいよ本編です。
まず、取り上げるのが「コンじる」

コンじる?
聞き慣れない方もいらっしゃると思います。

Photoshopには
「コンテンツに応じて」
「コンテンツに応じる」
と呼ばれる機能がたくさんあります。

正直、正式名称を呼ぶには長く、
また、愛着を込めて、
短くしたのが「コンじる」といういうわけです。

Content-awareです。
  カンバスを広げるまずは、こちらの画像。
私(鷹野)と佐藤さんというデザイナーの方が映っています。

「この画像を正方形で使いたい」といった場合、
みなさんなら、どのように扱いますか?

「佐藤さんを切り抜いて合成…」
これがぱっと思い付く方法ですが、
私の手前にあるパネル部分との合成に苦労しそうです。
  「背景レイヤー」のロック解除「背景」レイヤーは特別なレイヤー。
透明部分を持ったり、また、移動することができないため、ロックアイコンがついています。

変形を行う際、まずは「背景」レイヤーのロックをはずします。

従来ですと、「背景」レイヤーをダブルクリックしてダイアログを表示したり、
また、option + ダブルクリックで通常のレイヤーに変更しましたが、
CC以降のPhotoshopでは、ロックアイコンをクリックするだけで解除できます。
  コンテンツに応じて拡大・縮小(縮小)[編集]メニューの[自由変形]を使って変更すると…
まったくダメダメですよね!
いったん、キャンセルしましょう。

今度は[編集]メニューの[コンテンツに応じて拡大・縮小]を選びます。
先ほどの[自由変形]と同様にバウンディングボックスが表示されますが、
今度はいい感じに縮まってくれます。

これが「コンテンツに応じて拡大・縮小」。
魔法のような機能です!
   この「コンテンツに応じて拡大・縮小」は、
コンじるシリーズの第一弾として、Photoshop CS4で搭載されました。

CS4のリリースは2008年ですので、
遡ること12年。なんと干支が一周しています。
  拡大今回は縮小しましたが、拡大をやってみましょう。
ハンドルをドラッグすると、二人がどんどん離れていきます。

はみ出て領域までカンバスを広げるには
[イメージ]メニューの[すべての領域を表示]

このとき、optionキー(Altキー)を併用すると、
左右、両方向を同時に変形できます。
  一気でなく、少しずつ拡大するときの注意点。
今回の画像は、そもそも人物以外は壁だけですので
あまり不自然になる箇所はありません。

大きく拡大する際、
一気に広げるのと、少しずつ広げるのでは結果が異なることを覚えておきましょう。
   次にこちらの画像(プレゼントの包み)でやってみましょう。

「コンテンツに応じて拡大・縮小」を使って拡大すると、
リボンのすぐ下の包み(だけ)が不格好に伸びてしまいます。
これはおかしいですね。

このような場合には被写体を保護します。

[なげなわツール]を選択し、プレゼントを少し大きめにドラッグして選択。
[チャンネル]パネルを表示し、
この選択範囲を「アルファチャンネル」として登録します。

選択範囲はいったん解除します。

「背景」レイヤーのロックを解除。
「コンテンツに応じて拡大・縮小」を使って拡大するのですが、
この際、オプションバーの[保護]から
さきほど登録した「アルファチャンネル1」を選択すると、
文字通り、保護され、元の形状が保持されます。

うまくいかないときには、「保護」をうまく利用しましょう。
 カンバスを広げるイメージサイズこちらの写真は、鳥取砂丘で撮影したものです。

この写真を横長で使いたい、というとき、
まずはカンバスを広げますよね。

[イメージ]メニューの[カンバスサイズ]をクリック。
基準位置を右に固定し、
[幅]のフィールドに値をいれて実行します。

セオリーともいえますが、このやり方では広げすぎたり、
逆に、足りなかったということが生じるでしょう。

(復帰します)
  [切り抜きツール]そこで、使うのが[切り抜きツール]です。

[切り抜きツール]というとカンバスを縮めることを想像しますが、
ハンドルをカンバスの外側にドラッグすれば、
目分量で「このくらい」というところまで広げることができます。

さて、広げた領域。
どのように扱えばよいでしょうか?
スタンプツールで埋めていくと、かなりの時間がかかります。
  塗り潰し広げた領域を選択し、
[編集]メニューの[塗りつぶし]をクリック。

ここで…出ました!「コンテンツに応じる」オプション。
[OK]ボタンをクリックすると、いい感じに埋めてくれるのです。
  切り抜き時にコンじるいったん復帰して、もう一度やってみましょう。

[切り抜きツール]を選択して、左側のハンドルをドラッグ。

ここで実行前に確認したいのが、オプションバーにある[コンテンツに応じる]です。
このオプションをオンにしたまま実行すると、
カンバスを広げつつ、埋めるところまで一気に仕上げてくれます。
   領域を埋めるときに使うコンテンツに応じるは、
いわばスタンプツールの自動化版。

何もないところから生み出しているのではなく、
画像の中から、適切に参照して埋めてくれるのです。

埋めた部分を拡大してみましょう。
遠くに人が見えますよね!

スクロールして見てみると、
なんと同じ人が繰り返して表示されてしまっています。
 キズ・ゴミ取り、不要物の削除スポット修復ブラシツールこのままでは困りますよね。
こんなときに使うのが[スポット修復ブラシツール]です。

え?[スタンプツール]じゃないの?と思った方。
スタンプツールは、グラデーションやテクスチャが苦手です。

[スポット修復ブラシツール]を選択した状態で
オプションバーを確認すると…出ました!「コンテンツに応じる」オプション!

こちらは
色味を合わせるための「近似色に合わせる」オプションと、
テクスチャの合成をキレイに仕上げる「テクスチャを作成」オプションのミックスといえます。
   実際にやってみましょう。

クリック!
またはドラッグ。
いい加減にドラッグしても、なかなかキレイに仕上げてくれます。

スタンプツールでこのような作業を行うのは時間がかかり
ストレスがたまります。

[スポット修復ブラシツール]を使うと、
このような不要物、キズやゴミ取りを短時間で仕上げることができます。
  ブラシの大きさ[スポット修復ブラシツール]を使うときに
覚えておきたいTipsを紹介していきましょう。

まず、[スポット修復ブラシツール]は「ブラシ」ですので、
大きさやボケ足を持っています。
これによって結果が異なります。

大きさはブラケットキー、
硬さ(ボケ足)はshift + ブラケットキーで調整できますが、
視覚的なフィードバックがありません。
  HUDそこで
Macの方は、controlキーとoptionキーを押しながらドラッグ
Windowsの方はCtrlキーとAltキーを押しながらドラッグすると、
赤い玉が表示されます。

左右方向のドラッグで大きさ
上下方向のドラッグで硬さ(ボケ足)
を調整することができます。

このようにブラシプレビューを表示することを
HUD(Head-Up-Display)と呼びます。
  直線上こちらの画像にはたくさんの電線があります。
これを消すために[スポット修復ブラシツール]を使うのですが、
ドラッグ操作で行うと、時間がかかるだけでなく、
なかなかまっすぐに引けないことがあります。

この場合には、始点でクリック、終点でshift + クリックすると、
直線上に適用することができるのです。
  スマートオブジェクト[スポット修復ブラシツール]、なかなか使えそうなツールですが、
困ってしまうのが、スマートオブジェクトです。

たとえば、こちらのレイヤーをスマートオブジェクトに変換します。

すると、アイコンが「通行止め」のようなNGアイコンに変わり、
実行することができません。

この場合には、新規にレイヤーを追加します。

オプションバーの
[全レイヤーを対象]オプションがオンになっていることを確認し、
ドラッグして実行します。

すると、スマートオブジェクトのままでも、
[スポット修復ブラシツール]を使うことができました。

実際には、この適用結果は
後から追加したレイヤー1に書き込まれ、
スマートオブジェクトのレイヤーは、手つかずのままになっています。
  クイックマスクここまで「コンじる」をテーマに紹介してきました。
ツール、コマンド、それぞれ少しずつ進化してきました。

例えば、[切り抜きツール]に「コンテンツに応じる」オプションがついたのは、
2016年のCC 2015.5からですので、このような
ちょっとした進化は見逃しやすいですね。

進化といえば、[塗りつぶし]の「コンテンツに応じる」オプション、
こちらは、CC2019から、別のコマンドとして独立しました。
  [コンテンツに応じた塗りつぶし]コマンドたとえば、こちらの小屋を消してみましょう。

まずは、小屋を選択します。
今回は、クイックマスクを使って選択してみます。

キーボードからQキーを押してクイックマスクモードに切り替え、
Bキーを押してブラシに持ち替えます。

Dキーを押して、描画色・背景色をデフォルトに戻し、
選択したい箇所をドラッグしていきます。

もう一度、Qキーを押してクイックマスクモードを終了。
このままでは、ドラッグした箇所のみが選択されていない状態になっていますので、
[選択範囲を反転]を実行します。
   [編集]メニューの[塗りつぶし]をクリックし、
「コンテンツに応じる」オプションで実行すると、
小屋は消えますが、地面に近い草が高い位置に複製されてしまい、不自然です。
   いったん、取り消し、
[編集]メニューの[コンテンツに応じた塗りつぶし]をクリックします。

[プレビュー]タブを見ると、この時点では結果は同様です。
ここで注目していただきたいのが、カンバス上の緑の領域。

この緑の部分がサンプリング領域。
つまり、コンじるを実行する上で参照する領域なのです。

そこで、現在、ブラシ(サンプリングブラシツール)が選ばれていますが、
参照したくない領域をドラッグして、緑を消します。
すると、リアルタイムにプレビュー結果に反映します。

このように、同じ「コンじる」の塗りつぶしでも進化しているのです。
なお、[コンテンツに応じた塗りつぶし]では、
回転、拡大・縮小といったオプションを使って、より細かい設定が可能です。
  コンテンツに応じたトレースツール最新バージョンの2021で追加された
[コンテンツに応じたトレースツール]を紹介します。

パスを使った切り抜きは面倒ですが、このツールを使うと、
マウスオーバーで点線が表示され、クリックするとパスが描画されます。

連続したパスを描くには、Shiftキーを押しながら
この操作を繰り返します。

くっきりとしたエッジの画像があれば、精度の高いパスを
非常にスピーディに描画できます。
5切り抜き選択Photoshopのデザイン作業では、
いかに速く、キレイに選択範囲を作成するか、
これに尽きる、と言っていいくらいです。

最近のPhotoshopの進化でおさえておきたい2つの機能を

・被写体を選択
・オブジェクト選択ツール

について見ていきます。
  選択とマスクまずはサンプルファイルを開きます。
「07-AdobeStock_277972978.jpeg」

このように髪の毛を選択して切り抜くのは、非常に面倒な作業です。
しかし、現在のPhotoshopで楽勝です。

まずは、[選択範囲]メニューの[選択とマスク]をクリックします。
[選択とマスク]タスクスペースという特別な画面に切り替わります。

デフォルトでは「オニオンスキン」という表示モードになっており、
画像は半透明に見えます。

このままでもよいのですが、
・オーバーレイ(V)

・白黒(K)
を切り替えて使うのをオススメします。
それぞれVとKのキーで切り替わります。
   まずは、Vキーでオーバーレイモードにし、
画面上部のオプションバーにある[被写体を選択]ボタンをクリックします。
すると、髪の毛を含めて、かなりの精度で切り抜きが実行されます。
   さらに、最新バージョンの2021ではオプションバーに
[髪の毛を調整]ボタンが追加されています。

このボタンをクリックすると、さらに精度が高くなります。
   [選択とマスク]タスクスペースには[髪の毛を調整]ボタンのほか、調整モードやプリセットの保存など、たくさんの機能強化が行われています。
  被写体を選択「被写体を選択」について、さらに掘り下げていきましょう。
   「被写体を選択」は、次の方法で実行することができます。

・[選択範囲]メニューの[被写体を選択]をクリック
・オプションバーの[被写体を選択]ボタン(ツールに依存)
・背景レイヤーのロックをはずした状態、[プロパティ]パネルのクイック操作の[背景を削除]ボタンをクリックすると、選択範囲を作成し、レイヤーマスクを適用するところまでスピーディに実行されます。
  ドリル白背景を透明にしたい場合、従来は[マジック消しゴムツール]を用いて実行しました。しかし、この方法では影が残ってしまいます。
取り消します。

レイヤーのロックを解除し、レイヤーをダブルクリックして[レイヤースタイル]ダイアログボックスを表示。[ブレンド条件]を調整する方法もありますが、こちらもやはり影が残ってしまいます。
キャンセルします。

[プロパティ]パネルのクイック操作の[背景を削除]ボタンで実行すると、影もキレイに消えます。
すべての画像で同様の結果になるわけではありませんが、このようにいくつかのアプローチを持っておくとよいでしょう。
  アクション「被写体を選択」の応用的な使い方を紹介します。

写真の中で人物のみにフォーカスし、角版として切り抜きたいことがあると思います。

この場合には、次の手順をアクションに登録することで、1クリックで実行できます。

・被写体を選択
・選択範囲の拡張
・切り抜き
・選択範囲の解除

選択範囲が作成されていても、[イメージ]メニューの[切り抜き]コマンドは、長方形でカンバスをトリミングします。
   ほかの画像でも同様に実行してみましょう。
   次に[オブジェクト選択ツール]を紹介します。

[被写体を選択]は、画像の中の目立つオブジェクトを自動認識します。しかし、こちらの画像のように複数あるクッキーから「これ」を選びたいときには不向きです。

[オブジェクト選択ツール]に持ち替え、選択したいオブジェクトを少し大きめにドラッグします。

さらに、このクッキーを移動してみましょう。
選択範囲を拡張し、[コンテンツに応じた移動ツール]を選択して選択範囲をドラッグ。Enterキーで確定すると、オブジェクトが移動したようにレタッチされます。
  選択とマスクの呼び出しこちらの画像には3本の手が映っていますが、[オブジェクト選択ツール]を使えば、ドラッグ操作で一人の手だけを選択できます。
さらに、Shiftキーを押しながらドラッグして付け足すこともできます。

レイヤーマスクを適用すると、腕の部分にガタつきが見えます。エッジを調整してみましょう。

レイヤーマスクアイコンをダブルクリックして[選択とマスク]タスクスペースに切り替えます。

[スマート半径]オプションをオンにして、[半径]の値を思い切って大きめに設定すると、滑らかなエッジになります。
   テレビのディスプレイ部分だけを選択したい場合には、[オブジェクト選択ツール]で内側をドラッグします。

また、斜めに伸びているアンテナ部分は長方形でドラッグしても、うまく選択できません。その場合には、「なげなわモード」に切り替えて選択します。
  iPad版ここでiPad版のPhotoshopに切り替えましょう。

昨年、機能が限定されたPhotoshopとしてデビューしましたが、ほぼ毎月のアップデートでどんどん機能強化されつつあります。

[オブジェクト選択ツール]もiPad版のPhotoshopに入っていますので、非常に重宝します。
  空を置き換えこちらの星空を青空に変更することを考えてみましょう。

[オブジェクト選択ツール]で山をドラッグして選択。
選択範囲を反転すれば「空」の領域が選択されます。
しかしながら、単純にこの選択範囲に青空の画像を差し込めばよいというわけではありません。

選択範囲を解除します。

[編集]メニューの[空を置き換え]をクリックしてみましょう。
すると、空の領域を置き換えてくれるだけでなく、
山の部分にも空のカラーが反映され、自然な仕上がりになります。

今回は青空にしたいので、ポップアップから青空を選択してみます。

[選択範囲]メニューには[空を選択]というコマンドがありますが、
[空を置き換え]コマンドは、事前に選択範囲を作っておく必要はありません。
 顔立ちを調整スマートフォンには「整形アプリ」というジャンルがありますが、Photoshopでも同様のことができます。

[フィルター]メニューの[ゆがみ]をクリックすると、顔が認識されていることをしめすガイドラインが顔の横に表示されます。

[顔立ちを調整]セクションで[目の大きさ]を調整したり、[口]の[笑顔]の値を調整して口角を上げることもできます。
   最新バージョン2021の目玉機能のひとつが「ニューラルフィルター」です。

まずは、[肌をスムーズに]を実行してみましょう。
自然な感じに仕上がりますね。

続けて、「ベータ」セクションに切り替えます。
[スマートポートレイト]には、[顔立ちを調整]とは、また違った切り口での調整を行えます。

今回は[視線]のパラメーターを調整してみます。
画面の上部には「このフィルターはクラウドで画像データを処理します」とありますが、画像データがアドビに送信され、実行された結果が反映されます。
   視線、つまり目の位置が動きましたが、少し不自然ですね。「ニューラルフィルター」を実行するには、正面を向いている顔の方が適用しやすいので、異なる画像を開いてみましょう。

[年齢]のパラメーターを調整してみると、このように変わります。
  小さいまとめ現在、アドビはAIの分野で注目されています。AIフレームワークの総称「Adobe Sensei」として知っている方も多いと思います。

これまでは、各アプリケーションに機能として搭載されてきましたが、「ニューラルフィルター」は、処理そのものをクラウドで行うという点で画期的です。

現在、ベータ版となっており、グレイアウトしている箇所もありますが、どんどん実装されていくことでしょう。

また、いろいろな機能を組み合わせて、たくさんの手順を経て結果に至るのではなく、「白黒画像に色を付けたい」「写真をスケッチ風に加工したい」など、目的志向で操作できるように変化しつつあります。
 クラウド クラウドの話題の出たところで、最後にクラウドドキュメントについて紹介します。

Photoshopでドキュメントを保存する際、[コンピューターまたはクラウドドキュメントに保存してください]というダイアログボックスが表示されます。

従来通り、PCの中に保存する場合には右側の[コンピュータに保存]。
左側の[クラウドドキュメントに保存]を選択するとアドビのサーバー内に保存されます。
  データ共有クラウドドキュメントに保存することで、いくつかのメリットがあります。

まず、ひとつがiPad版のPhotoshop、そして、Frescoとデータをやりとりできることです。

なお、クラウドドキュメントに保存したPhotoshopファイルは.psdcといいう形式になります。
  バージョン管理もうひとつがバージョン管理です。
[ファイル]メニューの[バージョン管理]、または、
[ウィンドウ]メニューの[バージョン管理]をクリックすると、
[バージョン管理]パネルが開きます。

クラウドに保存したファイルは履歴情報が残り、[バージョン管理]パネルから遡ることができます。
この履歴は30日で消滅しますが、リボンアイコンをクリックして名前を付け、「お気に入り」に設定すれば、そのバージョンは残ります。

現在、Illustratorも同様の仕様になっています。

今後は、クラウドにドキュメントを保存し、共同編集はもちろん、同時編集なども可能になっていくことでしょう。
 まとめ 今回は、「コンじる」を中心に、被写体を選択、オブジェクト選択ツール、選択とマスクなど、そして最新バージョンの新機能などを紹介しました。

従来のやり方でも同じ結果に至ることができますが、Photoshopの進化によって、より速く、キレイに仕上がる機能がどんどん増えています。

これらを使いこなして、もっと楽しく仕事を進め、より成果につなげていきましょう。

セッションを聞いてくださいまして、ありがとうございました。