「フォントの日 2021」と源ノ角ゴシックのバリアブルフォント化
4月10日は「フォントの日」。4(フォン)10(ト)の語呂合わせに由来します。
日付は「フォ(4=four)ント(10)」と読む語呂合わせから。デザインの重要な要素となっている「フォント」にあらためて注目してもらうことが目的。記念日は2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
ちなみに、そのタイミングで「源ノ明朝」がリリースされました。
Adobe Fontsに大量の日本語フォントが追加
今回のフォントの日に合わせ、Adobe Fontsの日本語フォントに191ものフォントが追加され、総数では436になっています。
- Type-Labo(墨東ルイカ-07、キャピレラ-1、セプテンバーN3、ニタラゴルイカ-06など10フォント)
- FONT1000(AB Polcadot、AB-ゆるみん、AB-忠書墨念、AB イントレなど40フォント)
- 味明(味明 Modern 弘/EB、味明 Modern 秀/EB、味明 Modern 草/EB、味明 Modern 築/EBなど20フォント)
- 手書きや本舗(TA 秋、TA 弓削名人、TA ゆか、TA 相依為命、TA 恋心)
- 好恵の良寛さん(AB 好恵の良寛さん B、AB 好恵の良寛さん DB、AB 好恵の良寛さん M)
- Gradeo(TA マダム、TA 演芸筆、TA 角シャドー、TA 重ね丸ゴ、TA 男爵、TA 風雅筆)
「源ノ角ゴシック」のバリアブルフォント化
もうひとつの話題が「源ノ角ゴシック」のバリアブルフォント化です。ウェイトに依存しない、いわば「無制限ウェイト」として使えるようになります。
タイプフェイスデザイナーの西塚涼子さんがツイートされているように、バリアブルなのは「ウェイト」のみ。
アジア圏のフォントが丸ごとバリアブルになった記念✨ まだ動く軸はウエイトだけですが使いたい欧文に合わせたり用途が広がります!
— Ryoko Nishizuka (@ryon106) April 9, 2021
↓バリアブルフォント版のダウンロードはこちらからhttps://t.co/GPBn0uXUTp#源ノ角ゴシック #SourceHanSans #VariableFont #フォントの日 pic.twitter.com/R9GJJkXZ3q
細いウエイトと太いウエイトから中間生成されるとのことですが、なかなかスゴい!!!
実はバリアブルフォントの中身はこんな感じになっています。細いウエイトから太いウエイトまでを連続的に中間生成することで、自由に太さを調整できるフォントです!#フォントの日 #AdobeFonts pic.twitter.com/MOpS2KPQFn
— Taisei Yoshida|Adobe (@yoshi_typo) April 10, 2021
アドビブログでも、さらに詳しい情報が掲載されています。
インストール方法(1)すべてのフォントをダウンロード
現時点では、Adobe Fontsからインストールすることはできず、GitHubからダウンロードします。
- 上部の「Code」タブを選択
- 下の方に「Source code (zip) 」というテキストリンクをクリック
ダウンロードがスタート(2.3GB)
インストール方法(2)日本語用のみをダウンロード
- ブラウザで「https://github.com/adobe-fonts/source-han-sans/tree/release」を開く
「Region-specific Subset Variable OTFs」セクションにある「Japanese (日本語)」を右クリックして、[別名でリンク先を保存]をクリック
フォントの格納先
次の場所に入れると認識します(10.14では、それ以外の場所ではFontExplorer X Proを使っても認識しませんでした)。
/Users/(ユーザー名/)Library/Application Support/Adobe/Fonts/SourceHanSansJP-VF.otf
フォント名
「源ノ角ゴシック JP VF」として認識されます。フォントフィールドに「VF」と入力して検索可能。
使い方
[文字]パネルの[フォントスタイル]の横の[バリアブルフォント]ボタンをクリックすると、[太さ]のパラメーターが出現しますので、これを調整します。
アウトライン化
アウトライン化を視野に入れたワークフローでは「源ノ角ゴシック VF(バリアブル版)」を使うとき、[パスファインダー(追加)]を適用しておくとよさそうです。これによって、アピアランスの分割時にバラバラにならずに結合されます。
Googleからもリリース
「源ノ角ゴシック」=「Source Han Sans」≒「Noto Sans Japanese」のため、Googleからもリリースされています。
ややこしいですね…
合成フォント
バリアブルフォントの使いどころは、ズバリ「合成フォント」だと思うのですが、IllustratorやInDesignで実装するような気配は感じません…
「源ノ角ゴシック」がバリアブルになった!と沸いています。
— DTP Transit (@DTP_Transit) April 10, 2021
「小書きのかな」を小さく扱うと、細く見えてしまうので、太めのウェイトを当てます。
Illustrator/InDesignでは、合成フォントにて行いますが、ここで「バリアブル」にて微調整できると理想。#フォントの日 pic.twitter.com/eFKyEA2W5A
ウェブでも
CSSでもバリアブルフォントが扱える。
— Takeshi Kano 鹿野 壮 (@tonkotsuboy_com) April 8, 2021
font-variation-settingsでパラメータを調整で可能。
Adobeの日本語対応バリアブルフォント「Source Han SansVariable」でサンプルを作った。
wghtの値で太さが変わることを確認。他のパラメータは効かない模様。https://t.co/rZX17c6pO4#CSS #Adobe pic.twitter.com/iDNPvf9xXe
その他のバリアブルフォント
すでに入っている欧文のバリアブルフォント
アドビからは次の6フォントがバリアブルフォントとしてリリースされており、IllustratorやInDesignで利用可能になっています。
- Acumin Variable Concept
- Minion Variable Concept
- Myriad Variable Concept
- Source Code Variable
- Source Sans Variable
- Source Serif Variable
砧書体制作所
まだ制作中とのことですが、砧(きぬた)書体制作所さんの取り組みがおもしそう!その名も『うゴ』!!!
配信内では太さのみの紹介でしたが、伸縮機能を試みています。オンスクリーンでの動的な文字表現にいかがでしょうか? #フォントの日 #砧書体制作所 #バリアブルフォント #Variablefonts https://t.co/MNv5mNb27P pic.twitter.com/0zLHrCESr1
— 砧書体制作所 (@KDW_moji) April 10, 2021
砧書体制作所のバリアブルフォントはまだ制作中です…!太さが変わったり伸縮性があります。#砧書体制作所 #制作中 #バリアブルフォント #うゴ #variablefonts #ugo #フォントの日 #Adobefonts https://t.co/VJPZoZlnvK
— 砧書体制作所 (@KDW_moji) April 10, 2021
たづがね角ゴシック
実は日本語フォントのバリアブル化は「たづがね角ゴシック」と「たづがね角ゴシックInfo」が先陣を切って2020年に行われています。
「太さ」のパラメーターを変更すると、ウェイトは「カスタム」と表示されます。
なお、「たづがね」は複数の入手先がありますが、Linotypeとhttp://Fonts.comとFontShopでは対応済み。MyFontsのみ未対応。問い合わせてみたところ、「待てなかったらLinotypeで買って!」とのことでした。
For now, we can only suggest you to purchase the Variable version of the font from our sister website http://Linotype.com.
ちなみに、MonotypeのサイトではMyFontsにリンクされているのに…(当方、MyFontsで購入)
スペシャルイベントとアーカイブ動画
「こんなに進化しているってフォント!? ~フォントの日だよ全員集合~」と題したオンラインイベントも開催されました。
すでにアーカイブ動画が公開されています(バリアブルフォントは41:33くらいから)。