IllustratorでPowerPointのデータを作る

Illustratorで作った制作物を「PowerPointデータで欲しい」と言われることがあります。

  • 「そんな図解、PowerPointで作るとかムリ」
  • 「今から!?」
  • 「そもそもPowerPoint使ったことないし…」

などなど、絶句してしまうIllustratorユーザーは少なくないでしょう。

私自身、PowerPointで作業すると死ぬほどストレスが貯まります。そこで、IllustratorでPowerPointのデータを作る方法を紹介します。

実際に案件で利用することもありますが、複雑なデータはうまくいかないこともあると思います。あくまでも裏技的なものとして、だましだまし、使ってみてください。

この記事内の目次

Acrobatを介してIllustratorデータをPowerPointファイルに変換する

Acrobat/PDFを介すことで、IllustratorデータをPowerPointファイルに変換できます。

次の手順で行います。

  1. IllustratorでPDFに変換([最小ファイルサイズ]など)
  2. 変換したPDFをAcrobatで開く
  3. Acrobatで[ファイル]メニューの[書き出し形式]→[Microsoft PowerPointプレゼンテーション]を実行

PowerPointでの微調整

そもそもまったく異なるアプリですので、Acrobatから書き出したファイルは、PowerPointで開いて微調整が必須です。

IllustratorからPDFに変換する前に、PowerPointで理解できない機能をオフにしておくことで再現性が高まり、調整の手間を減らせます。

  • アピアランス
  • 自動カーニング
  • 複合シェイプ(仮のパスファインダー)
  • マスク
  • ブラシ
  • 線のプロファイル

それでも困ること

隣接したテキストは、ひとつのオブジェクトになってしまうことがあります。

Illustrarでフォントサイズを小さくしておいて、PowerPointで大きくし直すのがいいかも。

覚えておきたいIllustratorとの差

PowerPointを操作する上で、Illustratorとの違いをおさえておきましょう。

  • [手のひらツール]がない
  • [隠す]コマンドはないが、[選択ウィンドウ]ボタンをクリックして[オブジェクトの選択と表示]パネルを表示すれば、オブジェクト(やグループ)ごと、またはすべてのオブジェクトの表示・非表示を行える

  • [ロック]コマンドがない(一時的に隠すか、ロックしたいオブジェクトをカットして、スライドマスターに待避しておく)

なお、オブジェクトを選択すると次のようにプレースホルダー(Illustratorでいうバウンディングボックス)が大きく表示されてしまうことがあります。

この場合には、グループ解除を行います。PowerPointでは、オブジェクトが一つだけでも、グループ化を行うと、プレースホルダーが大きく表示されます。

  • Illustratorの前面にペースト、背面にペーストなど、同じ位置にペーストする機能は、PowerPointにはない。マクロを使えば可能。

整列関連

  • Illustratorの[選択範囲に整列]は、PowerPointでは[選択したオブジェクトの配置]
  • Illustratorの[アートボードに整列]は、PowerPointでは[スライドに合わせて配置]
  • キーオブジェクトに整列はIllustratorのみ

IllustratorPowerPoint
パン手のひらツールがんばる
隠す[隠す]コマンド(⌘ + 3)[オブジェクトの選択と表示]パネルで設定
ロック[ロック]コマンドない
同じ座標に複製前面にペースト、背面にペーストない
整列の基準選択範囲に整列選択したオブジェクトの配置
整列の基準アートボードに整列スライドに合わせて配置
キーオブジェクトに整列ない
ガイド定規から引き出す中心のガイドを複製
表示全体表示ウィンドウに合わせる
移動shiftキーを併用して10倍移動矢印キーのみ
回転いろいろoption + ←→
大きさ変更いろいろshift + ←↑↓→

参考になる記事

PowerPointでCCライブラリを使う

WordとPowerPointでは、アドインを入れることでCCライブラリを使うことができます。

現在、「Illustratorでコピーし、PowerPointに切り替えてペースト」ができるようになっているため、ひとりでお使いの場合にはCCライブラリを使う必然性はありません。一方、「AさんがIllustratorで使ったパーツを、PowerPointのみを利用しているBさんに手渡す」といった場合にはメリットが大きいといえます。

「CCライブラリ?」という方は、こちらの記事をご覧ください。

インストール

  1. こちらのサイトにアクセスする

  2. ガイダンスに従ってインストールを完了すると、Creative Cloudアイコンがリボンに追加される

  3. Creative Cloudアイコンをクリックして、パネルを表示し、ログインする

使い方

配置したいパーツで右クリックして、いずれかをクリックします。

  • グラフィックを配置:PowerPointで再編集不可
  • ベクターとして配置:PowerPointで再編集可

PowerPointのキーボードショートカット

IllustratorとPowerPointでは、次のようなベーシックな操作のキーボードショートカットが異なります。

  • グループ化、グループ解除
  • 重ね順
  • ガイドの表示・非表示
  • ルーラー(定規)の表示・非表示
  • テキストの行揃え(左、中央、右、両端、均等)

また、次の操作にはキーボードショートカットがありません。

  • 全体表示
  • オブジェクトを隠す(再表示)

逆に、オブジェクトの整列にキーボードショートカットを与えておくとはかどります。

キーボードショートカットの変更方法

PowerPoint 2016以降、キーボードショートカットを設定するにはmacOSのシステム環境設定を使います。

[配置]メニューの[配置/整列] → [左揃え]「配置->配置/整列->左揃え」のように入力します。

設定したキーボードショートカットは、メニューコマンドに表示されます。

Keyboard MaestroユーザーならIllustrator風にガッツリとカスタマイズ

システム環境設定での設定には、次のような問題があります。

  • 設定が面倒で時間がかかる
  • 設定を書き出したり、共有できない

Keyboard Maestroユーザーであれば、ガッツリ作り込むとハッピーになれます。