いただいた質問とその回答 2019前半(Illustrator)

この記事内の目次

2019年前半に講師を担当したセミナーにて、セミナー前後やアンケートにていただいた質問への回答をまとめました。

もっといい方法や異なるアプローチがあれば、ご指摘くださいますとありがたいです。

なお、質問いただくときには、口頭だと何かと厳しいので、サンプルファイルを持参いただくとスムーズです。

Illustratorで(Photoshopの[回転ビューツール]のように)作業画面を回転することはできませんか?

基本的にはできません。

次のように「レイヤーのアピアランス」を使うのはいかがでしょうか?

  1. [レイヤー]パネルで対象のレイヤーの○をクリック
  2. [アピアランス]パネルで「レイヤー」になっているのを確認
  3. [fx]→[パスの変形]→[変形]をクリック

  4. [回転]の値を「90」などに設定する

  5. レイヤーごと回転する

編集時には、[アピアランス]パネルで「変形」をオフにします。

作ったアピアランスをほかで使い回したいときにはどうすればよいですか?

次のアプローチがあります。

  • グラフィックスタイルに登録し、そのグラフィックスタイルを適用する
  • [アピアランス]パネルの左上のアイコンをオブジェクトにドラッグ&ドロップする
  • [スポイトツール]の設定を変更し、[スポイトツール]を使って適用する

Illustratorで文字入力中にフリーズしたり、もたつくことがあります。

IllustratorやInDesignでインライン入力を行うとき、自動カーニングは文字組みアキ量設定などの設定をリアルタイムで処理するため、もたつきます。

極論をいうと、IllustratorやInDesignでの文字入力は避け、テキストエディターを利用されるのがよいでしょう。

macOSの方は、Illustrator内でインライン入力を使わずに入力するスクリプトを利用されるとよいでしょう。

illustratorでテキスト編集を超快適にしてくれるスクリプト2選 | 0.5秒を積み上げろ

私は、Edit Texts Pro for Illustratorを使っています。

5mmごとのグリッドを作成したいという場合、簡単にスピーディに書く方法はありますか?

オブジェクトやパスをガイド化されるのがよいでしょう。

最近使用したファイルをクリアするには、どうすればいいですか?

  1. 環境設定の[ファイル管理・クリップボード]カテゴリ内、[最近使用したファイルの表示数]の値を0にします。

  2. [ファイル]メニューの[最近使用したファイルを開く]がグレーアウトします。

     「ホーム」画面の「最近使用したもの」セクションが消えます。

整列を実行しても意図通りにならないのですが…

「オブジェクトの分布」と「等間隔に分布」の使い分けを検討してみてください。

ルビ

割注を使って、それっぽいことはできますが、Illustratorは文字組みを行うツールではありません。InDesignを使いましょう。

試していませんが、次のスクリプトを試してみてください。

破線のようなものを使った場合、9スライスでうまくいきません。

いろいろ試してみましたが、9スライスでは対応できなそうです。

次のように“互い違い”に重なる表現をしたい

こちらにまとめました。

Illustratorの便利機能をもっと聞きたかった。

「Sync & Live」というフレームワークにまとめました。

  • Live(ライブ):後から直せるように作ること
  • Sync(シンク):何かを変更したら、関係のある箇所を一括更新できること

この中でも、次の3つがキモです。

  • シンボル
  • アピアランス
  • グラフィックスタイル

アピアランスとグラフィックスタイルは表裏一体の関係。これらを使いこなすと作業効率に直結します。

アピアランスについては、『10倍ラクするIllustrator仕事術』(増強改訂版)をご覧ください。1章がいきなりアピアランスです。

大型サイズのグラフィック(幅5000mm以上の仮囲い等)で、弊社グループ印刷会社が幅1100mmまでの出力しかできないため、分割した完全データで入稿する必要がある。現状、一つのビジュアルにたいしてグリッピングマスクで6分割の6ファイル等のデータで入稿。入稿作業だけで数時間を要しているので、簡単に分割入稿できる方法はあるか。

ロジックとしては次のように考えます。

  • 複数のアートボードをぴったりとくっつける
  • PDF書き出しを行う際、裁ち落としを設定する

手順

次のような手順で行います。

  1. [新規ドキュメント]ダイアログボックスで、[間隔]を「0」に設定し、複数のアートボードを設定する。

  2. アートボードがぴったりくっつく。

  3. アートワークを作成する。

  4. [ファイル]メニューの[複製を保存]をクリックする。

  5. [Adobe PDFを保存]ダイアログボックスの[トンボと裁ち落とし]カテゴリで、(必要似応じてトンボと)裁ち落としを設定する

  6. 書き出されたPDFをAcrobatで開き、プリントアウトする

アートボードの再配置(1)

  1. [オブジェクト]メニューの[アートボード]→[すべてのアートボードを再配置]をクリック

  2. [すべてのアートボードを再配置]ダイアログボックスが表示されるので、[レイアウト]に「横1列」、[間隔]を「0」に設定する

  3. アートボードが横並びになる

アートボードの再配置(2)

  1. [すべてのアートボードを再配置]ダイアログボックスで[レイアウト]に「横に配列」を設定すると[横列数]を設定できる

  2. この場合、次のように整列される

たくさんのカラーがある場合、ライブカラー(オブジェクトの再配色)を適用するには

[編集]タブに切り替え、右下のボタン(ハーモニーカラー)をクリックしてみてください。

IllustratorのAdobe Fontsはお気に入り登録してもウェブからの読み込みになるのでしょうか?

次のようにお伝えしました。

  • [文字]パネルの[さらに検索]を使うことで、Illustrator内でAdobe Fontsをアクティベート(=有効化)できる
  • この機能を使うには、インターネット接続が必要。また、それなりに重い…

アクティベート(=有効化)したフォントは、PC内に保存されます。ただし、通常のフォントファイルのようには取り出せないようになっています。

つまり、お気に入り機能と、Adobe Fontsの利用は関連性のない話です。説明が不足して失礼しました。

グラフィックスタイルの変更で一括変更されるのに範囲はありますか?(選択範囲もしくはアートボードなど)

アクティブのドキュメント内すべてです。

逆にいうと、選択範囲やアートボードのように限定することはできませんし、複数のドキュメントを開いている場合でも、ほかのドキュメントには無関係です。

発見がありました。「クリッピングマスクをサブレイヤーに集めてできる」

念のためですが、「レイヤーのクリッピングマスク」と「サブレイヤーに集める」は、独立した機能です。

[新規サブレイヤーに集める]は、Illustrator CC 2018まで[新規レイヤーに集める]でした。

Illustratorから長尺のPhotoshopドキュメントに「スマートオブジェクト」としてペーストするとき、思わぬ場所にペーストされてしまいます。

Photoshopでのスマートオブジェクトのペーストは、ドキュメントウインドウ内の見かけの中心です。

特定の領域のセンターにペーストするには、選択範囲を作ってからペーストします(岡田さんからの情報)。

Illustratorでコピー&ペーストせずに、ほかのドキュメントの同じ位置にすることはできないか?

検討してみます。

同じ位置に複製はどうしてる?

オブジェクトを同じ座標に複製したい場合、[コピー]→[前面にペースト](や[同じ位置にペースト])がセオリーです。しかし、Illustratorではクリップボードを介すと、レインボーカーソルが回り続けたり、落ちる原因になります。

そこでオススメは[移動]コマンド。移動距離を「0」にして[コピー]すれば、同じ位置に複製されます。

  • [コピー]ボタンをクリックせず、option + returnキー(Alt + Enterキー)で
  • [移動]ダイアログボックスを開くキーボードショートカットは、returnキー/Enterキーです。

一連の作業をアクションに登録して使うのがオススメです。

aiaファイルはどうやって作るのですか? どこから持ってくるのでしょうか?

なお、[アクション]パネルメニューの[アクションの保存]をクリックします。

aiaは「Adobe Illustrator actions」の略と覚えましょう。

段落スタイルをほかのドキュメントで使うにはどうすればよいですか?

次の方法があります。

  • 段落スタイルが適用されたテキストオブジェクトをコピー&ペーストする
  • [段落スタイル]パネルメニューの[段落スタイルの読み込み]をクリックし、段落スタイルが適用されているIllustratorファイルを選択する

  • CCライブラリに登録する

Illustrator CCをお使いでれば、CCライブラリがオススメです。

新規書類を作成する場合、自分で作ったブラシやシンボルやグラフィックスタイルを毎回、コピー&ペーストすることが面倒です。

ドキュメントプロファイルを利用しましょう。

Illustratorで新規ドキュメントを作成するときに「プリント」や「Web」などを選択しますが、これが「ドキュメントプロファイル」です。それぞれ元となるIllustratorドキュメントを複製しているだけです。

新規にドキュメントプロファイルを作成し、これにブラシやシンボルやグラフィックスタイルを入れておくとよいでしょう。

なお、Windowsでのドキュメントプロファイルの場所は、こちらを参照してください。

不透明マスクは、極力使用されないとお話されておりましたが、同じような効果(縁ぼかし)を出すためには、フォトショップで作業されるのでしょうか。それともインデザインを使用されるのでしょうか?

使用する場合には、「申し送り」レイヤーに「ここで不透明マスクをしている」旨のメモを残し、Illustrator内で完結します。

今回は、ボケ足を付けたいマスクとしてご紹介しましたが、不透明マスクを用いつつ、ボケ足を付けずに「ここだけを隠す」ときにも有用だったりします。

イラストレーターCCのライブトレースという機能を使い、画像のトレースをしているのですがもっと精度のいいソフトはないですか?

まず、ライブトレースオプションの設定は、いろいろ試されているでしょうか?

さらに、ライブトレースを実行する前に、Photoshopで次のような“下ごしらえ”を行うと精度が向上します。

  • レベル補正などを実行し、メリハリを付ける
  • ゴミやノイズを削除しておく
  • [画像解像度]で「ディテールの保持」を選択し、解像度を上げる

また、Vector Magicというオンラインで使えるツールがありますので、試してみるとよいでしょう。

「テキストばらし」のスクリプトを使うと、書式が変わってしまいます。

タクトシステムさんが改良版を公開されていますので、そちらをご利用ください。

フォントのライブプレビュー、便利なのですが、オフりたいんです。

フォントのプレビューは、環境設定でオフにすることができますが、ライブプレビューはオフにすることができません(できるといいですね)。

なお、[書式]メニューの[フォント]からだと、ライブプレビューは効きません。

カラーフォントやバリアブルフォントは、どこにインストールされていますか?

「/Applications/Adobe Illustrator CC 2018/Adobe Illustrator.app/Contents/Required/Fonts」です。

非推奨ですが、削除することはできます。

AIのサードパーティ製プラグインでいいものがあれば教えて欲しいです。

私が愛用しているのは、Xtream Pathです。

この中の「スマート・ラウンド]効果をテキストに適用するほか、「個別アンロックツール」がむっちゃくちゃ便利です。

また、あまり使い込んではいないのですが、Astute Graphics社のプラグイン群は、優れたものが多いです。

直販サイトでは、年に数回、セールを行います。40%オフになることもあるので、そのタイミングで購入するのが吉です。

環境設定ファイルの件で、バージョンを超えて移行する(2017→2018)裏技とかあればぜひ!(圧縮ファイルばらして置き換えてみたけどダメでした…)

実は、「個別の設定の書き出し」では、下記を保存することができません。

  • アクション
  • 合成フォント

macOS版であれば、「/Users/takano/Library/Application Support/Adobe/Adobe Illustrator 22/ja_JP」のフォルダーごと外に出してからシンボリックリンクを作成し、それを戻すのがオススメです。

シンボリックリンクについては、こちらにて解説しています。

なお、アクションは別の扱いになっていることもあり、また、Illustratorがクラッシュすると消えてしまうので、時折、自分で書き出ししておくのがよいです。

時間があっという間でした。鷹野さんのフォントに対する熱い気持ちをぜひ聞いてみたいです。

恐れ入ります。下記などをご参照ください。