IllustratorとXDでのパスファインダー(合体)の挙動の違い

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Illustratorでは、パスファインダー機能を使って、オブジェクト同士の合体や型抜きなどを行います。

異なる塗りを持つ2つのオブジェクトがあるとき、パスファインダー(合体)を行うと、前面のオブジェクトの塗りになります。

後から作成したオブジェクトは前面のため、ある程度完成したものに加える場合、オブジェクトの前後関係の調整が必要です。

XDの場合

XDでは逆で、背面のオブジェクトの塗りになります。 私の考えでは、ワークフロー上、理に適っているのはXDです。

ちなみに、XDにはキーボードショートカットがデフォルトで用意されており、次の3つのアプローチがあります。

  • [プロパティ]パネルから
  • メニューから
  • キーボードショートカット
コマンドキーボードショートカット覚え方
合体command + option + UUnite
前面オブジェクトで型抜きcommand + option + SSubtract
交差command + option + IIntersect
中マドcommand + option + XeXclude

シェイプ形成ツール

Illustratorには、[シェイプ形成ツール]というツールがあります。このツールはいわば、パスファインダーのツール版。次のように使います。

  • ドラッグ操作で合体
  • option + クリック/ドラッグで削除
  • クリックで分割

[シェイプ形成ツール]を使って合体を行う場合には、オプションを変更することをオススメします。

  1. ツールバーの[シェイプ形成ツール]をダブルクリックする
  2. [シェイプ形成ツールオプション]ダイアログボックスが開くので、[次のカラーを使用]を(「スウォッチ」から)「オブジェクト」に変更します。

すると、ドラッグして合体するとき、ドラッグ開始のオブジェクトの属性になりますので、オブジェクトの重なり順を意識する必要がなくなります。

複合シェイプ

「今後、Illustratorでのパスファインダー(合体)はシェイプ形成ツールで統一すればよい」と結論付けたいところですが、忘れてならないのは、複合シェイプです。

「複合シェイプ」とは、パスファインダーの仮適用。[パスファインダー]パネルのボタンをoption + クリックします。

“直しに強いデータ作り”という点では、複合シェイプを多用すべきです。

ちなみに、XDでは(名称こそ「複合シェイプ」とは呼びませんが)デフォルトで仮の状態で適用されます。

まとめ

名称やデフォルトの挙動は、次のように整理できます。

アプリケーション名称デフォルト仮適用の解除
Illustratorパスファインダー適用される複合シェイプの解除
([パスファインダー]パネルの[解除]ボタン)
XD[ブール演算](https://helpx.adobe.com/jp/xd/help/combine-mask-objects.html)仮適用パスに変換
([オブジェクト]メニューの[パス])
  • IllustratorとXDでは、どのオブジェクトの属性を保持するのかの挙動が異なる
  • Illustratorの[シェイプ形成ツール]を使えば、ドラッグの開始時のオブジェクトの属性を保持できる(ただし、初期設定を変更する必要がある)

Illustratorのパスファインダーの挙動を環境設定で変更できるようになるとよいなと考えます。

おまけ

Illustrator CC 2019以降、[余分なポイントを削除]オプションは再起動してもクリアされなくなりました。