IllustratorユーザーのためのXDの勘どころ

この記事内の目次

レスポンシブリサイズ、アニメーション、ドキュメントをまたがるシンボル、プラグインなど、XDの死角がなくなりつつあります。

Illustrator使いの方が戸惑う点やキーボードショートカットの一貫性のためのカスタマイズについてまとめてみました。

ツール切り換えのキーボードショートカット

Illustratorでは、

  • 長方形ツール:M
  • 楕円形ツール:L

だが、XDでは、次のように異なっている。

  • 長方形ツール:R(rectangle)
  • 楕円形ツール:E(ellipse)

XD流なら左手で完結できるだけでなく、隣り合っていてわかりやすい。ここはXD流に変えてしまうのがよさそう。

XDAi違い備考
ツール名ショートカットショートカット
選択範囲VV選択
長方形RMrectangle
楕円形ELellipse
L\line
ペンPPpen
テキストTTtext
アートボードAshift + OA:ダイレクト選択
ズームZZzoom

戸惑いやすいコマンド名とキーボードショートカット

Illustratorでいうアウトライン化、クリッピングマスクの名称とキーボードショートカットが、XDでは異なる。

  • [オブジェクト]メニューの[パス]→[パスに変換]は、Illustratorのアウトライン化のこと。XDのキーボードショートカットは⌘ + 8キー。
  • [オブジェクト]メニューの[シェイプでマスク]は、Illustratorのクリッピングマスクのこと。XDのキーボードショートカットは⌘ + shift + Mキー。

XDのキーボードショートカットをカスタマイズする

残念ながら、現時点では、XDはキーボードショートカットのカスタマイズ機能がない。MacユーザーならKeyboard Maestroを使ってカスタマイズできる。

整列

Illustratorの整列にはキーボードショートカットを割り当てできない。一方、XDにはデフォルトでキーボードショートカットが割り当てられている。

XDの整列

XDでは、次のようにキーボードショートカットが割り当てられている。

まとめるとこんな感じ。center/middleは少しトリッキーだが、実に理に適った設定。

カテゴリコマンドキーボードショートカット覚え方
整列左揃えcommand + control + ←
中央(水平方向)command + control + Ccenter
右揃えcommand + control + → 
上揃えcommand + control + ↑ 
中央(垂直方向)command + control + Mmiddle
下揃えcommand + control + ↓ 
分布水平方向command + control + Hhorizontal
垂直方向command + control + Vvertical
  • Illustratorのように[オブジェクトの分布]の機能はない。XDの[分布]は、Illustratorでいう[等間隔に分布]のこと
  • XDの[垂直方向]、[水平方向]は、Illustratorとは順番が互い違い
  • XDの整列では、キーオブジェクトの設定が行えない。XDではロックしてもオブジェクトを選択できるが、整列の対象にはならない。
  • XDの整列では、「アートボード」を対象にできない。しかし、選択しているオブジェクトがひとつだけの場合には、アートボードに対して整列される。まとめて中央に揃えたい場合などにはグループ化すればよい。

Illustratorで整列にアクションを設定するには

Illustratorの整列にキーボードショートカットを設定するには、アクションを作成し、そのアクションに対してキーボードショートカットを設定する。

アクションの設定方法については、DTP Transitにて紹介している。

Illustratorの[アクション]パネルメニューから[アクションの読み込み]でこちらのファイルを読み込めば、アクションから整列操作が可能になる。

なお、おまけとして、水平方向、垂直方向ともに中央揃えにするアクションを入れてある。

Keyboard MaestroでXD風にキーボードショートカットを与える

Macユーザーで、かつ、Keyboard Maestroをお使いであれば、こちらのファイル(Illustrator(整列)XD風 Macros.kmmacros)を読み込むことで、XDのキーボードショートカットで、Illustratorの整列アクションが使えるようになる。

パスファインダー

複数のオブジェクトを合体したり、型抜きするパスファインダーを、XDではブール演算と呼ぶ。

Illustratorではoptionキーを併用することで、仮の適用(複合シェイプ)となるが、XDでは基本が仮の適用状態。[パスの変換]コマンドが、Illustratorの「複合シェイプの拡張」にあたる。

さらに、XDでは、最初からキーボードショートカットが用意されている。

[プロパティ]パネルからもメニューからも実行できる。

コマンドキーボードショートカット覚え方
合体command + option + UUnite
前面オブジェクトで型抜きcommand + option + SSubtract
交差command + option + IIntersect
中マドcommand + option + XeXclude

ただ、これは覚えなくもよいように思う。

合体時の重なり順

Illustratorは上のオブジェクトの属性が残るが、XDは逆(下のオブジェクトの属性が残る)。

後から図形を描画すると、上に配置されるが、足したい場合には下のオブジェクトの属性を残したいので、XDの挙動の方が理に適っている。

複合シェイプ

Illustratorでは、[パスファインダー]パネルのボタンをoption + クリックすることで「仮」の状態で適用できる複合シェイプという考え方があります。

一方、XDはデフォルトが「仮」の状態での適用で、特に用語はありません。Illustratorでいう[拡張]を行うには、[オブジェクト]メニューの[パス]→[パスに変換]。解除するには、グループ解除(⌘ + shift + Gキー)です。

選択したオブジェクトを拡大

XDには、[選択範囲に合わせてズーム]というコマンドがあり、これが非常に重宝する。

キーボードショートカット

[選択範囲に合わせてズーム]のキーボードショートカット(⌘ + 3)は、Illustratorでは[隠す]。これは悩ましい…

  • 隠す:⌘ + 3(XDは変更)
  • ロック:⌘ + L(XDはデフォルト)
  • 選択したオブジェクトを拡大:⌘ + 2(XD)
デフォルト結論
IllustratorInDesignXD
隠す⌘ + 3⌘ + 3⌘ + ,⌘ + 3
ロック⌘ + L⌘ + 2⌘ + L⌘ + L
選択した
オブジェクトを拡大
(基本機能
にはない)
⌘ + option + =⌘ + 2⌘ + 2

Illustratorで「選択したオブジェクトを拡大」を実現するには

Illustratorでは、CC 2017以降、選択しているオブジェクトが中心になるように拡大されるようにズームの挙動が変わりました。

次の2つのスクリプトに、キーボードショートカットを割り当てれば、一発で拡大することができる。

前者のスクリプト(ZoomAndCenterSelection)だと大きすぎるので、最後に1行加えておくとよい。

app.executeMenuCommand("zoomout")

その他

XDには、現時点では次の機能がない

XDではできないこと(テキスト関連)

  • 自動カーニング(およびプロポーショナルメトリクス)
  • 手動カーニング
  • トラッキングのキーボードショートカット
  • 行間調整のキーボードショートカット

XDではできないこと『その他』

  • 不透明度変更のキーボードショートカット
  • アウトラインモード

その他(XDだけができること)

XDには[スポイトツール]と[手のひらツール]がないが、次の操作で呼び出しできる。

  • Iキーを押している間だけ、[スポイトツール]に切り替わり、画面内のカラーを“吸う”ことができる。
  • スペースバーを押している間だけ、[手のひらツール]に切り替わり、画面をスクロールできる。

ただし、テキスト編集中にスペースバーを押すと、当然、スペースが挿入されてしまう。

それはさておき、Illustratorのツールの数は88。一方、XDは9つのみ。

XDには[ダイレクト選択ツール]や[グループ選択ツール]すらないが、特段困ることはなく、“理に適っている”。

まとめ

こちらに比較表を作成しました。PDFでダウンロードできるのでお使いください。