Illustratorでの作業効率を高めるための原理・原則
この記事内の目次
絶対に正しい、ということではなく、個人の意見です。
保存
- 「⌘ + S」が最強のノウハウ
- 自動保存や復元に期待しない
- バックグラウンド保存(バックグラウンド書き出し)も使わない
Illustrator で開いてるドキュメントを保存して、すぐ閉じようとするとダイアログが表示されるけど、これ、OK ボタンが押されるまで保存タスクを中断しちゃうからマジ怖い。 pic.twitter.com/wSxj4z92SW
— 宮澤聖二|三階ラボ (@onthehead) March 4, 2020
保存先
- アドビ(Creative Cloud Files)、アップル(iCloud)のサーバーソリューションは信用しない
- Time Machineは使わない(復元が煩雑で時間がかかる)
- Dropboxを使う
- ファイル単位でのベタなバックアップも頻繁に
- 可能ならForeverSave 2も併用
CCライブラリを使う場合には、定期的に手動でバックアップする
不可解な挙動
オブジェクトが勝手に移動する
1時間に一度くらいのスパンでIllustratorを再起動する
描画エラー
- GPUプレビューをOFF/ONする
- デフォルトでは⌘ + Eキー
文字入力
Illustrator上では基本的に文字入力は行わない。 遅いただけでなく、落ちる原因。
- 入力するときには、三階ラボ謹製の「Edit Texts by Dialog.jsx」が必須
- プロ版がオススメ
- 別のエディタで入力し、Gorolib Designさんの「G209_RepContents3.jsx」でペーストする
フォント指定
次の2つの機能を利用するだけで、フォント指定は確実に時短できる。
- 「最近使用したフォント」
- 「お気に入り」フィルター
ズームの達人になる
アートボード
- 全体表示:左手でできるように変更(⌘ + 1)
- すべてのアートボード:⌘ + option + 0
- アートボードの切替
- 次のアートボードへ:Shift+fn+↓
- 前のアートボードへ:Shift+fn+↑
- 先頭のアートボードへ:Shift+Cmd+fn+↑
- 最終のアートボードへ:Shift+Cmd+fn+↓
オブジェクト
- 環境設定の[選択範囲・アンカー表示]カテゴリの[選択範囲へズーム]
- Adobe XDの選択範囲に合わせてズーム(⌘ + 3)を実現するために、ZoomAndCenterSelectionを使う
- ズームツールの挙動
- 環境設定の[パフォーマンス]カテゴリの[アニメーションズーム]をオフにして従来の“マーキーズーム”に戻す
ツールの切り替え
- よく使うツールをカスタムツールバーに登録する
- 「詳細」(全部入り)と併用するのがよい
次は一例だが、基本的に使うツールは左手でのみで行えるようにし、次のようにするのも吉。
- ツールバーを使わない
- そもそもマウス操作でツールを切り換えない
キー | デフォルト | 変更案 | 覚え方 | +shift |
---|---|---|---|---|
Q | なげなわツール | (なげなわの形状) | 自動選択 ツール | |
W | ブレンド ツール | ペン ツール | write | アンカーポイント ツール |
E | 自由変形 ツール | 楕円 ツール | ellipse | リフレクト ツール |
R | 回転 ツール | 長方形 ツール | rectangle | 回転 ツール |
T | 文字ツール | text | 文字タッチ ツール | |
A | ダイレクト選択ツール | anchor | アートボード ツール | |
S | 拡大・縮小 ツール | シェイプ形成 ツール | shape builder tool | 拡大・縮小 ツール |
D | (初期設定の塗りと線) | default | ||
F | (スクリーン モードを切り換え) | 直線 ツール | figure | 線幅 ツール |
G | グラデーション ツール | グループ選択 ツール | group selection | グラデーション ツール |
Z | ズームツール | zoom | ||
X | (塗りと線を切り替え) | eXchange | 塗りと線を切り替え | |
C | はさみ ツール | スポイト ツール | color | ライブペイント ツール |
V | 選択ツール | vector |
ワークスペース
よく使うパネルを、使いやすい位置に配置し「ワークスペース」として登録する。
- パネルは開けば開くほど重くなる
- 上書きするには、同じ名前で保存
- 閉じたパネルも、その位置を覚えている
- キーボードショートカットを節約するために、セットにしておく
整列
Illustrator 2020以降、整列コマンドにキーボードショートカットをアサインできるようになっている。しかし、次の理由からアクションを介して実行するのが吉。
- アンカーポイントの整列の対応していない
- 等間隔に分布に対応していない
参考
- Illustrator:アクションを使って整列コマンドにキーボードショートカットをアサインする - DTP Transit
- Illustratorの整列アクションの実行の使い分け | DTP Transit
- Illustratorの整列のキーボードショートカットを設定するとき、Keyboard Maestroの「tapped twice」を利用してキーボードショートカットを増やさない | DTP Transit
育てる系
- 環境設定をチェックし、デフォルトの挙動を調整する
- ドキュメントプロファイルを活用し、自分ごのみのIllustratorに育てる
- スウォッチ
- グラフィックスタイル
- 段落スタイル、文字スタイル
- デフォルトのフォント
- キーボードショートカット、アクション、合成フォントも同様
アクション
“手続き”的な作業にはアクションの利用を検討する
フォント管理
MORISAWA PASSPORT、フォントワークスLETSなどを使っている方はフォント管理が必須。
- FontExplorer X Pro、Suitcase Fusionがオススメ
- ただし、自動有効化機能は使わない
- フォント数が多い場合、Font Book.appは使いものにならない
詳しくはこちらのエントリーを参照ください。
設定ファイルのバックアップ(と同期)
下記は、原本をDropboxに置き、そのシンボリックリンクを所定の場所に置く。これによって、どのマシンでも常に最新の環境になる。
- キーボードショートカット(.kys)
- ドキュメントプロファイル(.ai)
- まるっと環境設定関連のフォルダーごと
下記は、自分でファイルを保存する。
- アクション(.aia)
- その際、「myActions-20200304.aia」のようにファイル名にタイムスタンプを付けて管理する(読み込み時には、タイムスタンプは無視される)
Mac
- メモリは潤沢に(MacBookは後から増設できないので購入時の最大にする)
- ドライブの空き容量が少なくなるとパフォーマンスが目に見えて落ちる
- 半年に1回程度、クリーンインストールを行う(移行アシスタントは使わない)
こちらにてメンテ方法が紹介されています(バッテリーの放電は不要)。
キーボードショートカットの枯渇問題
次の理由から、キーボードショートカットの枯渇問題は深刻。
- そもそもキーボードショートカットの空きがない
- Touch Barによって、F1-F12キーの利用は絶望的
これを解決するものとして、Keyboard Maestroの利用を考えたい。
加えて、Karabiner-Elementsを使って、キーのリマップを行う。
その他(哲学的なこと)
- パネルは開けば開くほど重くなる
- 「右手はマウス、左手はキーボード」がIllustratorの作業でのホームポジション
- ツールの切り換え、キーボードショートカットは左手だけで完結できるのが正義
- 保存への意識をシビアに
- なるべくクリップボードを介さない